【詩】偏在的支配的

 僕らの真ん中にあるもの。それは魂の側に。極彩色に透明に。色とりどりに形を変えて、尖り丸まり伸びて行く。僕らの外っ側にあるもの。それは人の間に。グラグラと冷え込んで。膨らみながら、時に小さく。柔らかなふりして刺々しく。

 彼らの内燃機関

 僕らの外部記憶。

 産み落とし、繋ぎ、育て、前へと押し出す力。轟々と音を立てるわけでもなく、それはあまりに支配的に強権的に駆り立てる。

 涙の波を呼び、憎しみの深さはえぐられ、うがたれ、黒々として、そして晴れ、破顔は風を呼び、咲き乱れる花に諸行を魅せる。
 
 絆をつなぐ力。
 
 希望を打ち砕く力。

 僕とあなたの間に。彼と彼女の間に。僕と彼と彼女とあなたと、時には誰かとの間にも。誰と誰との間でも。例えば僕一人の中にでも。

 口を開けば生まれた。口を閉ざしても生まれた。
 
 僕らはそれで満たされた魂を。満たされたそれは飲み込んだ僕らを核にして。

 走りだす。生まれて描かれ紡がれ語られなぞられ、走りだす。

 物語。僕らを生むもの。僕らを形作るもの。

 世界の内燃機関。世界の外部記憶。世界の万象因果。 
 
 呪詛も福音も、全ては語られ、意を為して、費やされていく。

 物語の祈り。
 
 物語の呪い。
 
 そこに僕が居なくとも。そこに誰もいなくとも。カタカタとも、キリキリとも音を立てず。ただ生まれる。ただ潰える。なにもかもをも飲み込んで。何もないことすらも飲み込んで。


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