【マンガ】「犯罪王ポポネポ」逸脱のエンターテインメント
![犯罪王ポポネポ 1 (ヤングジャンプコミックス) 犯罪王ポポネポ 1 (ヤングジャンプコミックス)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51wnbXMnDEL._SL160_.jpg)
- 作者: 小路啓之
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/05/10
- メディア: コミック
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個人的に今一番注目してる作家さんの一人である、小路啓之さんの新刊。
「犯罪王ポポネポ」
伝説の犯罪王ポポネポに捕まり、身代わりにされ、収監されることになった、悪事に一度も染めたことのない小市民マルキを主人公に据えた異色ノワール。
「ごっこ」「来世であいましょう」「かげふみさん」とこれまで同作者の作品を見てきたが、この作者の何が好きなのかなぁと考えてて、ふと、ある面白みに思い至った。
たぶん、この人の描く、異常な心理が面白いと感じてるんだろうなぁと。
そう思ってみると、異常が描かれているものが結構好きだなぁと。
それも、異常が異常たる所以、異常たる論理が描写されているものが好きなのだ。
例えば、「犯罪王ポポネポ」だと、悪事に手を染めたことのない主人公マルキも、監獄という舞台、周囲の犯罪者達でうめつくされた環境の中、その対比で一つの異常として描かれる。その過程で、生い立ち、思考回路等が語られるのだけど、その部分が面白いなと感じる。
成田良悟さんのバッカーノ!とか片山憲太郎さんの「紅」「電波的な彼女」とかも好きなのだけど、この作品でも異常が語られる。
バッカーノ!のヴィーノとかの思考回路とか面白い。自ら、不可能な事なんて無いと信じこむことで、作中の最強を背負い続けてるキャラ。
「紅」や「電波」はネジの外れ方はそこまででも、その心理とか思考のロジックが丁寧に描かれている。
悪役がやられる段になって、自分語りをしたりとかで、悪役が悪役になる過程を描く演出が、これは少年マンガとかでよく見られる。
あれを、罪を憎んで人を憎まずと言う様な主張と捉え、好悪が別れたりすることがあるらしいのだけど、僕は、単純に他人の頭の中を覗き込んでいるようで面白い。
なんにせよ、ポポネポ。
1巻最後の流れで、マルキが新たな異常性の萌芽を抱き始めてるところで終わってる。今後の異常の描写に期待したい。